「紫金山(ツチンシャン)・アトラス彗星」という彗星をご存じでしょうか?
現在、地球に接近中の彗星で、近々肉眼でも観測出来るのでは!?と大変期待されている彗星です。
今回は、「紫金山・アトラス彗星」の観測が期待できる日、東京や大阪などの大都市でも肉眼で観測が出来るのか?などを調査しました。
紫金山・アトラス彗星とは?
紫金山(ツチンシャン)・アトラス彗星は、2023年1月に発見された彗星です。
中国の紫金山天文台(ツチンシャン天文台)が名前の由来となっています。
「アトラス」は、地球衝突小惑星の発見を目的とした自動観測プロジェクトの名前です。
「彗星」とは、太陽の周りを回る氷でできた天体で、長い尾を持っているのが特徴になります。
彗星は、何十年、何百年の周期で太陽の周りをまわっていますので、観測できること自体が大変珍しく、「紫金山・アトラス彗星」も肉眼で観測できることになれば、話題になることは間違いありません。
紫金山・アトラス彗星はいつ観測できる?どの方角?何時に見える?
紫金山(ツチンシャン)・アトラス彗星はいつ観測できるのか?ということが気になりますよね。
紫金山・アトラス彗星は、時期によって見え方に違いがあります。
全部で3回の観測のチャンスがありますが、長い期間ではありません。
観測日を忘れないようにしておくことも大事ですが、お天気も重要になってきますね…!
1.肉眼での最大の観測のチャンスは10月中旬ごろ
10月中旬ごろの見え方
日にち 10月12日~10月17日頃(以降も観測出来る可能性があります)
時間 日没後すぐ(遅くなってくると月が出てきます。早めの時間がおすすめです)
方角 西の空 低空20度程度
紫金山(ツチンシャン)アトラス彗星は、9月28日に近日点(彗星が太陽に最も接近する点)を通過し、その後地球に近づいてきます。
地球に一番近い近地点は、10月12日となります。
そのころから、西の低空で観測が可能になってきます。
その後、日を増すごとに高さ(高度)は上がっていくのですが、彗星が徐々に暗くなり始める点に注意しなければなりません。
高度は20度程度と考えられ、大都市で天体観測をする上では十分な高さとは言えません。
2.10月下旬から11月中旬ごろまで観測できる可能性あり
10月下旬から11月中旬ごろの見え方
日にち 10月下旬~11月中旬頃
時間 日没後
方角 西の空 低空30度~
紫金山(ツチンシャン)アトラス彗星は、10月中旬ごろから徐々に高度が高くなっていきますが、その分地球から離れて言っているため、明るさ(光度)は徐々に暗くなっていきます。
10月15日は1.2等星程度と考えられている明るさが、10月25日頃には4.0等星程度になると考えられています。
ですが、月明かりの影響を受けにくくなるため、観測のチャンスはまだありそうです。
徐々に暗くなっていくことを考えると、双眼鏡などを用意しておいたほうが期待が持てるかもしれません。
紫金山(ツチンシャン)・アトラス彗星はいつまで見える?
紫金山(ツチンシャン)・アトラス彗星は11月中旬ごろまで見ることが出来ると考えられていますが、その頃にはだいぶ暗くなっているため、望遠鏡や双眼鏡がないと観測は難しいと思います。
肉眼で見られる限界は、10月25日頃までと考えておいた方がよさそうです。
3.9月下旬は高度が低く、大都市での観測は難しそう
9月下旬ごろの見え方
日にち 9月下旬~10月4日頃
時間 明け方
方角 東の空 低空
紫金山(ツチンシャン)アトラス彗星は、すでに日本でも観測報告が相次いでいます。
9月下旬は高度が限りなく低く、精度の高い望遠鏡などを準備しないと観測は難しそうです。
観測できない日
日にち 10月6日~10月9日頃(前後する可能性あり)
地球から見ると太陽の方角にあるため
紫金山(ツチンシャン)アトラス彗星は、日によって観測できない日があります。
気を付けておきましょう。
彗星観測をするのにおすすめの望遠鏡、双眼鏡
紫金山(ツチンシャン)アトラス彗星は肉眼でも観測出来る可能性の高い彗星ですが、淡い尾や細かい部分まで観測するためには望遠鏡や双眼鏡は欠かせません。
初心者の方でも扱いやすい望遠鏡や双眼鏡を集めてみました!
これを機に天体観測を始めてみたい方にもおすすめです。
初心者の方にもおすすめ!彗星観測におすすめの双眼鏡
「双眼鏡」は望遠鏡に比べ視野が広く、自由に動かせるので初心者の方でも扱いやすいです。
また、初心者の方でも気軽に購入しやすい価格帯のものも多くあります。
対物レンズ有効径30~50mm、倍率7倍~8倍ぐらいの双眼鏡を使えば、彗星から伸びる2種類の尾も観測できる可能性もあります。(確実ではありません)
ペンタックス PENTAX 双眼鏡 Jupiter 8×40 倍率8倍 レンズ有効径40mm
倍率8倍程度から「月のクレーター」がしっかりと確認できるようになります。
人気のペンタックスジュピターシリーズは、他にも10倍、12倍、16倍を販売しています。彗星が肉眼で見えるレベルであれば、倍率が8倍程度あればより鮮明に彗星を確認出来る可能性が高いです。
倍率が上がればより鮮明に見ることが出来ますが、視野が狭くなる分、目標の天体を見つけることが難しくなります。
また、倍率が上がるごとに手振れにも注意しなくてはなりません。
別売の「三脚アダプターTP3」を使用することにより、三脚への取り付けも可能です。
初心者の方にもおすすめ!彗星観測におすすめの望遠鏡
「望遠鏡」は倍率が高いため、肉眼では見えない星を見ることも可能です。
倍率が高まる分、視野がとても狭くなるため、初心者の方が狙った星にピントを合わせるのが難しく、少々扱いづらい点が難点です。
天体望遠鏡 CELESTRON StarSense Explorer LT80AZ
ビクセンセレストロン スターセンスエクスプローラーシリーズは、専用アプリをダウンロードしたスマートフォンを天体望遠鏡に装着すると、アプリが星空を撮影します。
それを天体データと星空認証することで、スマートフォン画面を見ながら観測したい天体を探せる機能が最大の特長。
4通りの倍率(36倍、72倍、90倍、180倍)で、土星の環や木星の縞模様、初心者には難易度の高い星雲・星団までスマートフォンが天体観測をナビゲートしてくれます。
池田レンズ工業 天体望遠鏡 レグルス50 スマホ撮影セット付
安心の日本製でありながら、1万円台で購入することが出来る天体望遠鏡です。
「素通しファインダー」ついており、目標の天体を探しやすい工夫がされています。難しい操作が不要のため、お子様でも扱いやすいです。
比較的安価でありながら、「スマホ撮影セット」が付属でついてくるため、スマートフォンでの撮影も可能。
紫金山(ツチンシャン)アトラス彗星は、世紀の大彗星となれるのか!?
彗星の見え方予測は、専門家、研究家の方でも大変難しいと言われています。彗星が近地点に来た際にどの程度明るく輝くのかはまだ未知数なのです。
また、近日点(彗星が太陽に最も接近する点)を境に、見え方が変化することがあります。
太陽に近づきすぎた場合には場合には崩壊し、消滅してしまうケースや、小さくなってしまい肉眼での観測が難しくなる場合があるのです。
紫金山(ツチンシャン)アトラス彗星は、大都市でも見つけられるくらい明るく輝く可能性を秘めているようですが、実際は10月12日頃にならないとわかりません。
崩壊説もある?
崩壊説は2024年7月頃に専門家の間で話題となりました。
ですが、現在実際に観測出来ていることを考えると、紫金山(ツチンシャン)アトラス彗星は崩壊せずに残っていると考えられます。
ただし、9月28日に近日点(彗星が太陽に最も接近する点)を超える際に崩壊してしまう可能性は大いにあります。
10月4日頃まで東の空で観測できるようであれば、無事に近日点を通過し、地球に近づいてくる紫金山(ツチンシャン)アトラス彗星を観測できる可能性が一気に高まります。
観測のコツは?大都市でも見られるの?
紫金山(ツチンシャン)アトラス彗星が、想定通り明るく輝いている場合、東京や大阪などの都市部でも観測できる可能性が大いにあります。
彗星の尾は繊細で淡い輝き方をするため、明るい場所では綺麗に見ることが出来ません。
少しでも暗い場所を探しておきましょう!
観測のコツ
10月12日頃の西の低空には「金星」が見えます。金星の近くに紫金山(ツチンシャン)アトラス彗星もあるものと考えられます。
かなり明るい「金星」が見えない場所ですと、それよりも暗いとされる紫金山(ツチンシャン)アトラス彗星が見える可能性は低いです。
高度が低いため、なるべく開けた場所を探しましょう。
肉眼で確認できないときは?スマホで撮影してみよう!
場所はわかっているのに「肉眼」では確認できないときは、スマホも使ってみましょう。
ISO感度を調整することにより、肉眼では見えていない星を撮影することが可能です。
彗星をスマートフォンで撮影するには?撮影は可能?
1.スマートフォンにナイトモードや星空撮影モードまたはマニュアルモードにします
2.露光時間を長くします
iPhoneの場合は、ナイトモード中に上にある矢印をタップしましょう。メニューがファインダー下に表示されたら「ナイトモードボタン」をタップし、スライドを動かして露光時間を長くします
都市部でも観測の大チャンス!
日にち 10月12日~10月17日頃(以降も見られる可能性があります
方角 西の空 まずは、明るく輝く「金星」を探してみよう
次回の大彗星を観測できるチャンスはいつ?
今回の紫金山・アトラス彗星の後、大彗星を観測できるチャンスはあるのでしょうか?
現在、明確にわかっているものは、37年後の2061年7月のハレー彗星です。
ですが、今回の紫金山・アトラス彗星のように急に見つかることもありますので、新たな彗星の発見を楽しみに待ちましょう!